水平線は横に引いた1本のラインで相場の先を読む、テクニカル分析の中でもシンプルな手法です。
それでいて効果的に使いこなせば、強力な目安になってくれる力を持っています。
極めれば、水平線だけでFXに勝つことも十分可能でしょう。
実際、多くのトレーダーは各自で水平線を引き、そのラインを意識しながらトレードをします。
初心者であればなおさら、同じように水平線を意識しなければ勝てません。
しかし。水平線は見た目がシンプルな分、引こうと思えばいくらでも引けてしまいます。
また、それらしく水平線を引いてはみても、いまいち成果に結び付かない人もいるでしょう。
そこでこの記事では正しい水平線の引き方や注意点、エントリーポイントの決め方など、水平線を活かしたトレード手法を説明します。
水平線とは?特徴について
水平線とは、ローソク足の高値や安値を水平に結んで出来たラインのことです。
当然、水平線を引く時に使われるのは、過去のチャート情報になります。
しかしそれを未来に延長すると、新しいローソク足もまた、そのラインの影響を受けてしまうのです。
時には長期に渡って相場に影響を残すこともあるため、決して軽視は出来ません。
真横に伸びる水平線は、そのまま特定の「価格」を示します。
つまり、過去の値動きで重要な意味を持つ価格を見つけ、それを視覚的に分かりやすく描画したのが水平線というわけです。
まずは水平線を引くメリットや、なぜ水平線が将来に渡って相場で機能し続けるのかなどを見ていきましょう。
レジスタンスラインとサポートライン
水平線には機能面で異なる2つの顔があり、時々によってこれらの機能を使い分けます。それが、レジスタンスラインとサポートラインです。
「レジスタンスライン」は、英語では「Registance Line」、日本語では「上値抵抗線」あるいは単に「抵抗線」と表記します。
価格が今いる位置から上昇した時、値動きが跳ね返されるラインです。
サポートラインは、英語では「Support Line」、日本語では「下値支持線」あるいは単に「支持線」と表記します。
レジスタンスラインとは逆で、今いる位置から価格が下落して行った時、値動きが跳ね返されるラインです。
いずれも、そこで反発するラインとなるので、エントリーや決済の目安となります。
また、当然ですが、永遠に反発されるという事はあり得ません。いつかは突破されますので、その見極めも重要なポイントです。
水平線は1本だけで成立することもありますし、2本、あるいはそれ以上の本数で機能し合うこともあります。
一般に単に「水平線」という場合は、1本で成立しているラインを指すことが多いでしょう。
2本のラインがセットになって伸びる場合、その間で価格が折り返し合うので、同じ幅で上下して行きます。
これは「レンジ相場」や「保ち合い相場」などと言われる状態です。
また、複数のレンジ相場が繋がったり、内部で入れ子のような値動きをする場合もあります。
何本かの水平線が並ぶこともありますが、基本的な機能はどのスタイルでも変わりません。
ラインの機能は転換する
相場がレジスタンスラインやサポートラインに達すると、価格は基本的に反発します。
しかし、その状態はいつまでも続くわけではありません。どこかでラインを超えて相場が動くことになります。
これを「ラインをブレイクする」と言いますが、ブレイク後はラインの持つ機能がそれまでのものとは逆転するのが水平線の特徴です。
それまでレジスタンスラインだったラインは、ブレイクされると、今度はサポートラインとして機能します。
それまでは下からの突き上げを跳ね返していましたラインが、今度は上から落ちてきた価格を受け止め、跳ね返して上昇させるラインになるということです。
逆に、サポートラインがブレイクされて価格が下落すると、そのラインはレジスタンスラインに変化します。
下から再び価格が上がってきても、そこで跳ね返す壁になるわけです。これを「サポレジ転換」と言います。
水平線を攻略するためには欠かせない、最重要の知識です。
先ほど「水平線は2つの機能を使い分ける」と書きましたが、ラインのブレイクがその切り替えのタイミングになります。
そのためラインをブレイクするかしないか、多くのトレーダーが注目して推移を見守ることになるのです。
ただ、どちらにしても「接近してきた価格をそこで跳ね返す」という意味では、何の違いもありません。
重要な水平線は何度も意識される
信頼性の高い水平線とは、何度も同じ所で反発を繰り返すラインのことです。
重要とされる水平線は多くのトレーダーから意識され、長期に渡って機能し続けます。
そうして何回も反発することで、さらに注目を集めていくのです。
「今回も反発するだろう」と予測されることから、多くの場合、ライン際では素早い反転が見られます。
そこで反転せずに突破するには多くのエネルギーが必要となるため、一旦ラインを超えると、その勢いで大きく伸びることが多いのです。
その後、価格が水平線の方に戻ってきても、すでにサポレジ転換は完了しています。
そのため多くのトレーダーは、今度は逆の方向に反発するだろうと予測するでしょう。
機能が入れ替わることで長きに渡り意識されることは、水平線の特徴です。
反発している数が多いほど機能する
水平線は多くの人に意識されるほど、その効力を発揮します。すなわち、何回も同じラインで反発を繰り返しているという過去の履歴です。
高値や安値を結ぶことから最低2箇所は必要ですが、できれば3回以上の反発を見せていることが望ましいでしょう。
そもそも2箇所だけとなると、水平線を引ける候補が多くなり過ぎてしまうのも問題です。
またサポレジ転換した後も引き続き反発を示すと、さらに評価が高まります。
レジスタンスラインとして3回機能し、その後サポートラインとして2回機能しているなどです。
ただ、何回も機能するうち「流石にそろそろ破られるだろう」と思う人が多くなると、強度が下がって破られやすくなります。
長い時間足の方が機能する
このように反発回数は、多ければ多いほど良いのですが、水平線にはもう1つ評価軸があります。
それは、同じ水平線でも長い時間足で引いたラインの方が強いということです。
1分足で引いたものより15分足で引いた水平線、15分足よりも4時間足でのラインの方が強い効力を発揮します。
1つには、長い時間足を重視するトレーダーが多いため、そこでの水平線の方に意識が集まるのが理由です。
さらに、高値や安値の間隔が短い場合、短い時間足では水平線が引けても、長い時間足では引けないことがあります。
長い時間足では、高値や安値のローソク足が1本、あるいは隣接するローソク足に含まれてしまうことがあるからです。
また環境分析をする上でも、長い時間足での確認は欠かせません。
普段トレードに使っている時間足に加え、より長期的な足でも、水平線がどうなっているか確認してください。
目先の水平線を過去に延ばすと、重要な場面で機能しているかもしれません。
逆に過去の重要な水平線を現在方向に延長すると、それが将来の相場で機能することもあり得ます。
中には、歴史的に長期に渡って何回もの挑戦をはねのけてきた水平線もあり、そうしたラインは抵抗の強さから「岩盤」とも呼ばれます。
例えば、米ドル/円を見てみましょう。赤い水平線は「101円」のラインです。
2013年から2022年現在まで、8年間に渡り、この水平線はレジスタンスラインとして機能しています。
今は円安が進行していますが、将来、円高方向に反転するとこのラインに近づくこともあるでしょう。
その時は、突破するにしても反発するにしても、相当の攻防戦が予想されます。
こうした「岩盤」は、簡単に抜ける可能性は低いものの、一旦抜けると直近で参考になる水平線や指標がありません。
そのため、先行きを読みにくくなるのが難しい所です。
水平線が機能する心理とは?
そもそも、水平線はなぜこのような機能を見せるのでしょうか?そこには市場に参加している多くのトレーダーの心理が関わっています。
ある局面におけるトレーダーには、次のような4種類があるでしょう。
- 買いポジションを持っている
- 売りポジションを持っている
- これから買いを入れたい
- これから売りを入れたい
さて、ここで価格が水平線に達しようとした時、各トレーダーはどのような行動を見せるでしょうか?
たとえば、価格がレジスタンスラインに差し掛かった場合を考えましょう。
- 買いポジションの人
反転して下落しそうだから、ここで売って利確しよう - 売りポジションの人
どうせ反転するだろうから、売るのはその後にしよう - 買いを入れたい人
どうせ反転するだろうから、買うのはその後にしよう - 売りを入れたい人
反転して下落しそうだから、ここで売りポジションを立てよう
結果、買いの利食いと新規の戻り売りが入り、大方の予想通り下落します。
そして実際に下落が始まると、それまで静観していたトレーダーも後から追いかけ、流れが確定するのです。
もちろん「水平線なんて信じない」と独自に考え、上がると予想し、「買い」を入れても良いでしょう。
しかし、結果的に価格が下落すれば、損失が出るだけで終わります。
市場とは、買いたい人が多ければ価格が上がり、売りたい人が多ければ価格が下がるものです。
それはつまり、多数派がどちらになるかで決まるということ。
ライン際には多くの人の心理が反映されています。
市場に参加している人(FXの場合はトレーダー)がどのように考えているかを掴むことがFXでは重要です。
水平線を使うメリット
水平線は、闇雲に引けば良いというものではありません。いくつかの基本を押さえて引くことで、以下のようなメリットが生まれます。
- 多くのトレーダーと同じ目線で意識できる
- 初心者でも扱える
- 売買ポイントが判断しやすくなる
- 相場の方向が掴める
多くのトレーダーと同じ目線で意識できる
移動平均線などのインジケーターは、設定によって描かれるラインの描画が変わります。
そもそも、人によって使っている指標は様々なため、画面の中身も異なるでしょう。
斜めに引くトレンドラインも、人によって引き方が異なることはよくあることです。
このように、チャートは人によって千差万別になります。その中で、水平線は誰が引いても大きな違いが生まれません。
多くの人が同じラインを意識して、エントリーや決済のタイミングを測ります。
そのため同じようなポイント(価格)で、一斉にアクションを起こすことになるのです。
水平線を引くことで「多くのトレーダー」と同じ土俵に立てます。引かずにいれば、情報的に不利になるでしょう。
初心者でも扱える
水平線は使い方がシンプルです。難しい知識や分析力は必要ありません。
初心者でも基本を押さえれば正しくラインを引け、上級者と互角に渡り合えます。
特殊なインジケータも使わないので、取引プラットフォームも選びません。
初心者でも非常に扱いやすく、真っ先に知っておくべき知識と言えます。
売買ポイントが判断しやすくなる
水平線を引くと、売買ポイントが見極めやすくなります。
多くのトレーダーが同じように意識するので、ライン上で価格が反発したり、反発を振り切って飛び出す確率が高くなるからです。
移動平均線などのインジケーターをただ見ていても、売買ポイントを絞ることは難しいでしょう。
しかし、水平線はそのまま「価格」を指しています。
そのため、ピンポイントで売買ポイントが掴めることが大きなメリットです。
また、水平線はダブルトップやトリプルトップ、三尊などのチャートパターンとも密接に関わります。
それらのネックラインなどが水平線として引けることがあるからです。
チャートパターンの一部としても売買ポイントを強く示唆しますが、それに加え、その後のチャートに影響を与えることもあるでしょう。
相場の方向が掴める
ラインのブレイクとサポレジ転換を使うことで、その後の相場の行方が掴めます。
水平線では、ブレイクされない限り、価格はラインより上か下で値動きします。
しかし、ブレイクされると、今度はラインの反対側で値動きが続くので、相場の行方が見通しやすくなるのです。
たとえば、サポートラインをブレイクされた場合、価格は下落に向かいます。
そこから再び戻ってきても、今度はかつてのサポートラインがレジスタンスラインになっているので、上方への突破を許しません。
結果、相場はさらに下落傾向を強めていきます。
逆にレジスタンスラインを突破されると、価格はその勢いで上昇していく可能性が高まるのです。
水平線を使って稼ぐことは可能?
水平線が有力なことは理解できたと思いますが、実際に水平線でFXに勝てるものでしょうか?結論を言えば、十分勝てます。
むしろ、余計な情報が混じらない分、不要に迷うこともないので、初心者にはおすすめです。
多くのインジケーターを使ってチャートに何本ものラインを表示させ、別ウィンドウでまた違う指標を表示させれば、見た目には賑やかになり上級者の気分も味わえます。
しかし、チャート分析は複雑にすれば良いというものではありません。
もちろん手法やインジケーターを適切に使えば高い効果を発揮しますが、まずは基本的な部分をマスターするのが先でしょう。
高度なツールは、基本的な手法を補足するために使うのが有効です。
また、信頼性の低い水平線は、その効果も限定的になります。水平線を使って稼ぐには、それだけ強いラインを見抜く力が条件です。
水平線の引き方とポイント
水平線は角度のない直線ですから、引くこと自体は誰でもできます。
しかし、正しく引けていない水平線は機能しない可能性が高いので、それを根拠にトレードすると負けてしまうでしょう。
また、やたらと引いても、どれを使っていいのか分からなくなってしまいます。
実際に機能する水平線を引くには、一定の知識や条件が必要です。ここでは効果の高い水平線を引くためのポイントや注意点をご紹介します。
- 目立つ高値や安値を結ぼう
- ローソク足のヒゲも含めて引く
- ラインの精度は必要以上に拘らず引く
- 長い時間足から引く
- チャートパターンに関連付けて引く
- キリの良い価格に合わせて引く
目立つ高値や安値を結ぼう
水平線を引く時の基本は、チャートの中で目を引く高値同士や安値同士を結ぶことです。
その際、ラインの角度は完全に0度になるように引いてください。
正確には角度を0度にするというより、角度が0度になっている関係性を見つける作業になります。
実際に高値同士や安値同士を結んでみると、微妙に角度が付くこともあるでしょう。
その時、無理やりラインを水平に引いて見せても、あまり意味はありません。
水平線は作るものではなく、すでにチャートの中に成立しているものなのです。
もしラインが斜めになるなら、それは水平線ではなく、価格の方向性を示す「トレンドライン」になります。
見つけるべき「目を引く」高値や安値とは、山の頂点や中腹、谷底などで反発を受け、価格の方向が変わった地点です。
特に何回も特定の価格を越えようとアタックしたが、結局越せず、折り返してしまった地点は評価できます。
また、レジスタンスとサポートの両面で機能している過去を持つ水平線なら、信頼性は更に高いと言えるでしょう。
ローソク足のヒゲも含めて引く
ローソク足には実体とヒゲがありますが、ヒゲは含めるべきでしょうか?それとも実体のみを対象にして引くべきでしょうか?
結論から言えば、ヒゲも含めて引いてください。
そもそも海外のトレーダーの中には、バーチャートなどを使い、ローソク足とは無縁の人がたくさんいます。
そうしたトレーダーはヒゲを無視してラインを引いていますが、水平線を使った手法は世界共通なので、問題ないと言えるのです。
逆に、水平線は多くの人が同じラインを引くことで機能しますから、海外のトレーダーと違うラインになってしまっては意味がありません。
また、短い時間足でのヒゲは、長い時間足では実体部分に含まれてしまうことも多くなります。
それも気に実体とヒゲを区別する必要性がない理由です。
ラインの精度は必要以上に拘らず引く
水平線を引く時、通過点となる高値や安値がピッタリ合えばいいのですが、必ずしもそうならないこともあります。
その場合、その水平線は機能しないと言えるでしょうか?
実際のところ、微塵も誤差なく水平線にピッタリ合わせて反発が起きることは、それほど多くありません。
とくにヒゲについては、多少突き抜けてたり、ラインの手前で折り返したりすることがよくあります。
特に突破した直後に折り返すパターンはかなり多く、いわゆる「ダマシ」のパターンです。
エントリーの失敗にも繋がるので、注意しなければなりません。
ここまでの内容を踏まえた実例が上手です。レジスタンス>サポート>レジスタンスと機能が変遷しているのが分かります。
長い時間足から引く
先ほど、トレードに使っている時間足より長い足を見ようと書きましたが、水平線を引く順番としても、長期の時間足の方を優先させたほうが良いでしょう。
そうした時間足の方が相場に与える影響が大きいということもありますが、重視すべき水平線を見つけやすいというメリットもあります。
短い時間足の場合、小さな値動きが多いため、引ける水平線の数が多くなってしまいます。
すると、どの水平線がより重要なのか分かりにくくなってしまうでしょう。
しかし、長い時間足は値動きの幅が大きくなるので、相対的に引ける水平線の数が限られるようになります。
そのため重視すべきラインも、自ずから見つけやすくなるというわけです。
また初心者はどうしてもエントリーに気が逸り、目の前の時間足に集中しがちです。
それに対し上級者ほど、長期足を使った環境分析を行います。
その結果、長期足での水平線に注目して取引するので、それと同じ土俵に乗る必要があるのです。
実際、短い時間足での価格はランダムな動きをよく見せます。
それに対し長期での価格の動きはテクニカル分析で説明しやすい、規則的な動きをする傾向にあり、それだけ信頼性も高まるのです。
チャートパターンに関連付けて引く
これも先ほど書いた内容ですが、水平線はチャートパターンと関係することもあります。
ダブルトップやトリプルトップ、三尊などで引けた水平線は、多くのトレーダーが強く意識するラインになるでしょう。
ネックラインだけではありません。たとえば、三尊の山の頂点から引けた水平線も、その後の相場に効力を発揮することがあります。
下図はダブルトップ気味から、三尊パターンの上部がレジスタンスラインになっている様子です。
そして、このラインをそのまま延ばすと、かなり間隔は空きますが引き続きラインの機能が生きていることが分かります。
こうしたラインは、チャートパターンが成立した時点で役目を終えるとは限りません。
特に長い時間足で一定の期間をかけて成立したパターンの場合、その後も影響を持ち続ける可能性があるので、継続した注視が必要です。
キリの良い価格に合わせて引く
「誰もが意識するライン」という意味では、キリの良い価格も該当します。
キリの良い価格とは、120.00円や1.24000ドルなど、端数がなく区切りの良い数字の価格です。
「120.00円になったら買おう」「1.24000ドルになったら売ろう」など、キリの良い所での取引を考えるトレーダーはたくさんいます。
もともと意識されている価格ですから、そこに水平線が引ければ、さらに強い効力を持つでしょう。
もちろんキリが良いからと言って、過去のチャートで反発がないのにラインは引くことはできません。
しかし実際にラインを引いてみると、期せずしてキリの良い数字になることも多いのです。
使いやすく強度もある価格としては、端数が「00」と「50」、次いで「20」や「80」などとなるでしょう。
一方、「40」や「60」は「50」に、「10」や「90」は「00」に近く、そちらに収斂しやすくなります。
水平線を意識したエントリー・決済ポイント
では実際に、水平線を活用してエントリーや決済を行う時のポイントを説明します。
水平線という絶対的な基準があるので、対処自体は初心者でも分かりやすいでしょう。
問題は、2つの可能性があることです。つまり、ライン際で反発するのか?抜けてブレイクするのか?という二択を常に迫られます。
基本となるのは、これまでに繰り返されてきた反転を、今回も期待するというアプローチです。
しかし、いつかはラインをブレイクされてしまいます。どちらになっても対応できるようにしておかなくてはなりません。
ここでは3通りのパターンを想定し、それぞれのエントリー方法を見ていきます。
- リターンムーブを待ってのエントリー
- 水平線での反転を使ったエントリー
- 水平線のブレイクに合わせたエントリー
- 資金を分割してエントリーしよう
パターン①:リターンムーブを待ってのエントリー
最も安全でおすすめしたいのが、一度ブレイクした後、再びライン際に戻ってきたタイミングでエントリーする方法です。
これは一般に、「押し目買い」や「戻り売り」と呼ばれています。
- 押し目買い
上昇した価格が一時的に下落したところを狙って買いを入れるパターン。 - 戻り売り
下落した価格が一時的に上昇したところで売りを仕掛けるパターン。
このように、一度はラインを抜けた価格が再び戻ってくる動きを「リターンムーブ」と言いますが、それを待つ形になります。
あえて戻りを待つのは、抜けた直後にエントリーした場合、すぐに値が戻って損失を出すことがあるからです。
戻らない場合はエントリーの機会を逃しますが、戻ってくれば高い勝率が期待できます。
ここで必要なのは、水平線を完全に抜けて行くのを見送ることです。さらに戻りを待つので、ローソク足を何本かはさむことになります。
そして戻ってきても、すぐにエントリーしてはいけません。再び水平線をブレイクし、そのまま抜けて行ってしまう可能性があるからです。
そうではなく、ラインできっちり反発され=サポレジ転換されているのを確認してから、満を持してエントリーします。
この時、価格の動きはラインから離れて行くので、エントリーは流れに沿った「順張り」です。
すでにサポレジ転換も確認できているため、その後また価格が落ちて来ても、同じ所で再び反発するのが期待できます。
そのため負けにくいトレードが出来るのです。
このリターンムーブを使ったエントリーでは、最初のブレイクと戻ってからの反発という、2つの確認を挟みます。
それだけ我慢を強いる方法なので、待てずにエントリーしてしまう人も多いでしょう。
しかし、FXで勝つためには「待つのが秘けつ」とも言われます。
早くポジションを持ちたいと思う心をコントロールするのも、FXで勝つには必要です。
損切りは、ローソク足の実体がさらに戻ってきてしまい、水平線を抜けたら行いましょう。
もしくは、リターンムーブの幅と同じだけ割り込んだ地点が候補となります。
利確ラインは直近の安値や高値、リターンムーブの幅などが目安です。
パターン②:水平線での反転を使ったエントリー
2つ目の方法は、水平線で反発することを活かしたエントリーです。
本来、水平線はそこで価格が反発してきた過去を持っています。そのため確率的には、今回も反発する確率が高いでしょう。
それなのに最優先の手法としていないのは、取れる利幅が小さくなりがちなことと、ダマシに遭う可能性がリターンムーブより大きいからです。
利幅については、このパターンが小さいというより、ラインをブレイクしていく方が勢いを活かして大きく伸びる可能性があります。
ダマシについては、リターンムーブでは2回の確認を踏まえてエントリーするのに比べ、拙速とも言えるタイミングです。
その分、リスクを含んだエントリーになるのは避けられません。
それでも、ライン際で反発したらすぐにエントリーするのではなく、少し様子を見ることで確実性は上がります。
具体的には反発したローソク足が閉じるまで待ったり、より下位の時間足でダブルトップなどのチャートパターンが成立してるのを確認できた時などです。
最寄りにトレンドラインがあれば、それをブレイクするまで待つという方法もあります。
あるいは、直近で目に付く高値や安値があれば、それを超えたり割り込んだりするタイミングも目安になるでしょう。
ただ一旦はラインで反発しても、何回も戻ってきて突破にチャレンジするケースもあります。
逆向きにエントリーしているとメンタルが削られますし、損切りを繰り返すと損失も重なり、まして最後にブレイクされたら目も当てられません。
損切りラインが読みにくいのも、この方法をおすすめしにくい理由です。
リスクリワードや他の指標などから、事前に決めてしまうのが良いでしょう。
利確ラインは、直近の安値や高値が目安にできます。
レンジ相場ではない場合、そのまま大きくラインから離れていく可能性もあるので、注視しましょう。
パターン③:水平線のブレイクに合わせたエントリー
最初のパターンであるリターンムーブを待たず、すぐにエントリーする方法です。
水平線が突破されると、反発を期待して逆張りしたトレーダー達が、含み損を抱えます。
そこから損切りに走ることで価格が一気に動くことを利用したエントリーです。
初動を掴めるので利幅が期待でき、リターンムーブが起きない場合でも、エントリーチャンスを逃しません。
当たれば大きいこの方法ですが、ダマシに遭うと、リターンムーブを使うよりも損失幅が広がる可能性が高まります。
言わばハイリスクハイリターン型であり、そもそも水平線は反発される確率が高いため、一定の実力がないと難しいでしょう。
この方法を取る場合も、すぐには乗らず、ローソク足が閉じるまで待つのが基本です。
ただしブレイクの勢いが激しいと、その間にはるか先まで価格が伸びることもあります。
その辺の対応は臨機応変さも必要です。
仮にブレイクアウトのタイミングにうまく乗れなくても、リターンムーブを待つ手がありますから、焦る必要はありません。
このパターンでの損切りラインや利確ラインは、直近の安値や高値が目安になります。
資金を分割してエントリーしよう
3つの方法を紹介しましたが、いずれもダマシに遭う可能性があるため、一気に全額エントリーするのは危険です。
エントリーチャンスが複数回やって来ることもあるので、資金を何回かに分けて投入すると、リスクを軽減できます。
たとえば、水平線をブレイクしてすぐに資金の1/3でエントリーし、リターンムーブで更に1/3、最後にリターンムーブのピークを抜けたタイミングで残りの1/3を投じるなどです。
逆張りでエントリーする場合も、同様に分割エントリーできるでしょう。
最初のローソク足が閉じた時点で1/3、2本目で逆行のない事を確認して1/3、さらに最初の折り返しを抜いたタイミングで残りの1/3を投じるなどです。
いずれも狙いと逆行したらすぐに損切りすることで、損失を抑えられます。
利確・損切りポイントは出来るだけ決めておく
それぞれのパターンで損切りや利確の目安をお伝えしましたが、出来れば事前に確定させておきましょう。
チャートの勢いや直近の安値や高値など、周囲の環境の中にも決める要素がありますが、考えることも多くなります。
初心者の場合、それが負担になって、肝心のエントリーに影響が出る可能性もあるからです。
また、考えた結果が合っているかどうかも分かりません。
それならいっそ、損切り幅と利確幅を毎回一定にしてしまえば負担もなくなり、損失も一定の幅に抑えられます。
たとえば、利確・損切りともに10pipsで設定する、あるいは利確20pips・損切りが10pipsで設定するなどです。
「コツコツドカン」を避けるためにも、損切り設定はしておくべきでしょう。
水平線を使ったトレード手法
水平線を活用して的確にエントリーや決済を行うには、他の指標を組み合わせることが有効となります。
水平線単独では、果たして反発するのか、突破されるのか判断が難しいからです。
水平線における基本的な狙いはライン際での反転ですが、ラインを突破されてしまうと痛手が大きくなります。
逆に突破されると予測できればトレンドの初動に乗れ、大きな優位性を得られるでしょう。
しかし、ローソク足だけを見ていても判別は付きにくく、逆に困惑してしまうこともあります。
そこで値動きを読み取る判断基準に加えたい、インジケーターや指標をご紹介いたします。
- トレンドラインを組み合わせる
- ボリンジャーバンドを組み合わせる
- フィボナッチリトレースメントを組み合わせる
- その他のインジケーターを組み合わせる
トレンドラインを組み合わせる
実戦で組み合わせやすいものとして、まず候補になるのがトレンドラインです。
トレンドラインは水平線とは異なり、相場の方向性を示す斜めのラインですが、それを使うことでいくつかの見極めが可能となります。
基本的な構図は、トレンドラインと水平線、現在の価格の3つが接近している状態です。
ここでは、トレンドラインと水平線が交差するポイントに注目しましょう。価格がここに差し掛かった場合、高確率で反発します。
2本のラインをまとめて突破するには、非常に大きな勢いが必要になるからです。
確率的には、このような交差点に価格が重なることは、あまりなさそうに思えます。
しかし、実際のチャートでは、図ったかのように合致することも珍しくありません。
また、多少離れていてもトレンドラインで相場の方向性が分かっていれば、それだけで十分な優位性に繋がります。
相場が上昇基調の時、下から価格が上がってきたら、トレンドに乗って突破される可能性が高まるでしょう。
逆に上から価格が下落してきた場合、水平線で反発される確率が高まります。
ボリンジャーバンドを組み合わせる
次におすすめしたいのが、ボリンジャーバンドを使った見極めです。
ボリンジャーバンドは、トレンド相場・レンジ相場を問わず使えるので、いつでも水平線と組み合わせられます。
ボリンジャーバンドの使い方は、バンドでの反発を利用するか、バンドに沿って急上昇や急降下するバンドウォークを使うかの2種類です。
バンド幅が狭く、平行に推移している時は、値動きは上下で小さなものになります。
この状態のバンドが水平線と近接していれば、そこで反発する可能性が高いということです。
しかし、バンドウォークが発生すると、ローソク足はバンドに沿って大きく伸びます。
このように広がったバンド幅に水平線が接した場合、そこでラインが突破される確率が大きくなるでしょう。
フィボナッチリトレースメントを組み合わせる
ボリンジャーバンドと並び、フィボナッチリトレースメントも水平線と親和性の高い指標です。
そもそもフィボナッチリトレースメント自体が、複数の水平線で構成されていますから、併用しやすいのも当然でしょう。
フィボナッチリトレースメントは対象の高値と安値を指定することで、その中間の価格帯を規定の比率で分割し、水平のラインを描画します。
これらのラインは、そこで価格が反発されることを示唆するものです。
ですから手動で引いた水平線が、これらのラインと重なった場合、そこで反発が生じる可能性は極めて高いと推測できます。
フィボナッチリトレースメントはボリンジャーバンドと同じく、トレンド相場・レンジ相場を問わず使えるのもメリットです。
その他のインジケーターを組み合わせる
ボリンジャーバンドやフィボナッチリトレースメント以外にも、水平線と組み合わせて使えるインジケーターはいくつもあります。
ただ、これらは常に使えるものではなく、相場環境に応じた使い分けが必要です。
相場がレンジ状態の場合は、その中での反発を狙った逆張りが考えられます。
そこで役に立つのはオシレーター系のインジケーターである、RSIやMACDなどです。
相場がトレンド状態であれば、まずは移動平均線、他に一目均衡表やスーパートレンドなども使いやすいでしょう。
こうしたインジケーターを使うとエントリーの根拠を増やせるので、トレードの精度が上がります。
水平線活用の注意点
最後に、水平線を使ってトレードする際の注意点などをお伝えします。
- 水平線の引きすぎに注意
- 相場の勢いや急変には対応しにくい
- おすすめの通貨ペア
水平線の引きすぎに注意
チャートに水平線を引きすぎると、どれを使ったら良いのか、決めにくくなります。
水平線にぶつかる度にエントリーを考えていくのも大変です。
だからと言って、「水平線は画面に1本」という縛りがあるわけではありません。
重要だと思える水平線を引いた結果、似たような価格が重なることもよくあります。
異なる時間足で、それぞれ引ける水平線が変わってくることもあるでしょう。
それでもあまりに価格が近かったり、ヒゲが多く何本も引けたりすると、ラインの密集が生じて取引に支障をきたします。
そういう場合は、無理して特定のラインに集約するようなことはせず、ひとまとめのゾーンで対応するようにしましょう。
「太めのライン」というイメージです。
ゾーンにヒゲが入ったら警戒し、実体で入り込んだらエントリーを準備します。
反発やブレイクの判定も、ゾーンからの離脱具合で判断しましょう。
そもそも短い時間足ではゾーンでも、長い時間足ではラインのように見えることもあります。
そのため、大きく扱いを変える必要はありません。
相場の勢いや急変には対応しにくい
水平線に価格が接近したら、そこで反発するのを想定の軸としつつも、ブレイクしたらチャンスと捉えるのが基本です。
しかし、相場に勢いがあると、ラインをあっさり突破されることもよくあります。
乱高下に巻き込まれると存在感も危うくなって、本来の機能が発揮できません。
そうした状況では水平線を活用するより、相場の勢いや急変を優先させた方が役に立ちます。
相場がある程度落ち着いてきたら、また水平線による判断の比率を高めましょう。
おすすめの通貨ペア
相場の動きは、通貨ペアによっても特徴が異なります。水平線の機能自体は、通貨ペアの種類に関係なく同様です。
しかし、それぞれの相場には特徴があるので、信頼性についても差があります。
おすすめなのは、米ドル/円やユーロ/円です。
これらの通貨ペアは相場の動きが緩やかで、乱高下することも少ないため、水平線への信頼性が損なわれません。
一方、値動きの激しい英ポンド/円や新興国を絡めた通貨ペアなどでは、勝算が乏しくなるので、避けた方が賢明です。