FXは、なんとなくやっているだけでは利益を得るのが難しいもの。
でも、しっかりとした”法則”、つまり「FXロジック」があれば、そんな混沌とした市場でも勝つチャンスが広がります。
この記事では、そのFXロジックを自分で作るための方法を分かりやすく説明します。
一緒に見ていくと、市場の動きを自分で読み解く力が身につき、お金を増やす可能性が広がります。
でも、全てがうまくいくわけではないのも事実。
だからこそ、FXロジック作りのメリットだけでなく、その難しさやデメリットも一緒に見ていきます。
こうしてFXを理解し、自分だけの取引戦略を磨いていくことで、FX取引の世界がもっと楽しく、有益になることでしょう。
FXのロジックとは
FXのロジックとは取引ルールのことです。
ロジックには論理・筋道という意味があります。
具体的には、下記のような取引ルールをまとめたものがロジックです。
- 取引する通貨ペア
- 利確や損切りのタイミング
- エントリーのタイミング
- 取引する時間帯
- テクニカル分析を使用する
エントリーするタイミングだけルールを決めるような簡単なロジックもあれば、取引ルールをこまかく決めるような複雑なロジックもあります。
どちらもロジックであることに変わりはありません。
トレーダーごとにロジックの内容は異なるため、勝てるロジックもあれば負けるロジックも出てきます。
ロジックを作るのがゴールではなく、勝てるロジックを作ることが大切です。
ここでは、FXのロジックについて下記の順番でさらに解説します。
- 自動売買プログラムに多く使われる
- ソーシャルトレードと自動売買のロジックの違い
自動売買プログラムに多く使われる
ロジックは、もともと自動売買プログラムに使われていました。
自動売買とは、プログラムが自動的に相場を分析してエントリー・決済する取引手法です。自動売買には、下記のような種類があります。
- EAと呼ばれるプログラムを使っておこなう自動売買取引
- ストラテジーと呼ばれるプログラムを使っておこなうミラートレード
MT4/MT5に標準搭載されている自動売買機能はEAを使った自動売買です。
自動売買に使用するEAやストラテジーには、開発者のロジックが埋め込まれています。
つまり、自動売買をおこなうトレーダーは、プログラム開発者があらかじめ作ったロジックを借りて取引をおこなっているわけです。
ソーシャルトレードと自動売買のロジックの違い
ソーシャルトレードとは、プロのトレーダーが代行して取引をおこなう自動売買です。
プロのトレーダーに報酬手数料を支払う代わりに取引してもらいます。
ソーシャルトレードは裁量取引と自動売買が混合している取引スタイルです。
EAやストラテジーのロジックのように決められたルールに沿って取引をおこなうのではなく、プロのトレーダーが自分で決めたロジックに沿って取引をおこないます。
ソーシャルトレードのメリットは、プロのロジックをリアルタイムに反映させて取引できることです。
ただし、報酬手数料が高いため勝率が上がっても利益が増えるとは限りません。
FXにロジックが必要な理由
FXにロジックが必要な理由を下記の順番で紹介します。
- 想定外の損失を防ぐため
- 取引にメリハリをつけるため
- ポジポジ病を防ぐため
- メンタルを安定させるため
- 取引を安定させるため
想定外の損失を防ぐため
想定外の損失を防ぐためには、損切りのロジックを作る必要があります。
なぜなら、損切りのロジックがないと、含み損が大きくなって負けるリスクが高くなるためです。
どれだけ優秀なトレーダーでも勝ち続けることはできません。
勝ちと負けを繰り返しながら、少しずつ利益を増やしていくのがFXです。
また、負けトレードが発生した場合に備えて、損失の上限を決めておく必要があります。
過去の利益がすべて飛ぶような損失が発生するリスクがあるためです。(=コツコツドカン)
そのため、FXのロジックは想定外の損失を考慮して作る必要があります。
1回の取引で許容できる損失額を決めて、ロジックに損切りルールを取り入れましょう。
取引にメリハリをつけるため
取引にメリハリをつけるためにはロジックが必要です。FXは平日なら24時間いつでも取引ができます。
いつでも好きなタイミングで取引できるため、睡眠やプライベートの時間を削ってFXをおこなうトレーダーも少なくありません。
しかし、睡眠やプライベートがなくなると、ストレスの増加や集中力の低下で取引にも影響が出てきます。
パフォーマンスが落ちた状態で取引すると勝てません。
勝てなくなると気持ちが焦り、無理にポジションを持ってさらに負けるという悪循環に陥ります。
ロジックを作る場合は、取引のタイミングも取り入れてメリハリをつけましょう。
ポジポジ病を防ぐため
FXのロジックを作ることはポジポジ病の予防につながります。
ポジポジ病とは、FXにおいてどんな場合でもポジションを保有しておきたい心理状態です。
相場の状況に関係なく、ポジションを保有していないと気持ちが落ち着かなくなります
ポジポジ病が起こる原因は、機会損失を逃したくない心理が原因です。
FXで利益を増やすためにはポジションを保有しなければなりません。
そのため、ポジションを保有していないと「ポジションを持っていない時間がもったいない」と感じ、相場に関係なくポジションを持ってしまうのです。
ロジックを作ることがポジポジ病予防になるのは、ロジックの取引ルールに基づいてエントリーをおこなうためです。
エントリーのタイミングにルールを設けるため、不要なポジション保有を防ぐことにつながります。
メンタルを安定させるため
ロジックを作ることは、メンタルの安定につながります。
なぜなら、取引ルールに基づいてエントリー・決済することで、機械的な取引ができるためです。
FXとメンタルは深い関係があります。デモトレードやFXのゲームでは勝てるのに、本番になると勝てないというトレーダーは多いです。
同じ環境でありながら勝敗に差が出るのは、自分の資金を使うかどうかが大きく関係しています。
自分の資金を使わないデモトレードやFXのゲームなら気軽に取引ができます。
しかし、自分の資金を使うリアルトレードは「負けたらどうしよう」という精神的なプレッシャーが強くなるため、資金を使わないFXに比べて思い切った取引ができません。
資金を失うことへの恐れがメンタルに影響し、取引にも悪影響を及ぼすというわけです。
特に初心者は1回の取引に一喜一憂してメンタルが左右されやすい特徴があります。
ロジック通りに取引をおこなえば、メンタルに関係なくルールに沿った取引ができます。
取引がメンタルに影響されないためには、ロジックを作って取引しましょう。
取引を安定させるため
ロジックを作ることは取引を安定させる効果があります。なぜなら、取引が安定するメリットは、安定した収入を得られやすくなることです。
ロジックに基づいて取引をおこなうと、1日1日の取引回数の差が小さくなり、1日1日の損益にも大きなブレがなくなります。
仮にロジックを決めずに取引をすると、下記のような状態になることも想定されます。
- 前日は100回取引したけど今日は取引しない
- 前回は10万通貨で取引したけど今回は1,000通貨で取引する
- 前はメジャー通貨のドル円で取引したから次はマイナー通貨で取引する
取引ごとにルールを大きく変えてしまうと毎日の損益が大きく変わります。
「FXで週に3万円稼ぎたい」と言った目標を立てる場合は、ロジックを決めて取引する方が達成しやすいです。
利益目標を立てるなら、ロジックを作ることが重要になります。
ロジックを作る方法
ロジックを作る方法は下記の2通りあります。
- 自分でロジックを作る
- 他人のロジックを参考にする
ロジックの作り方がわからない方は他人のロジックを参考にするのもよいでしょう。
しかし、相場は常に変化しているため、ロジックもアップデートさせる必要があります。
他人のロジックを参考にして最初は勝てたとしても、相場に合わなくなってくると勝率が下がってきます。
そのため、相場に合わせてアップデートするならロジックは自分で作ることをおすすめします。
自分でロジックを作るメリット
自分でロジックを作るメリットを下記の順番で紹介します。
- 問題が見つかってもすぐに修正できる
- トレードスキルが向上する
- 自動売買のプログラム選びに役立つ
問題が見つかってもすぐに修正できる
自分でロジックを作るメリットは、ロジックに問題がみつかってもすぐに修正できることです。
FXに完璧なロジックは存在しません。そのため、ロジックは定期的な見直しや修正が必要です。
見直しや修正をおこなうためにはロジックの知識も欠かせません。自分でロジックを作ることはロジックの知識が身につくことにもなります。
他人が作ったロジックの場合、どのように作られてきたロジックかすべてを把握することはできません。
ロジックを作った経験がないと、問題点がどこにあるのか把握するのも難しいでしょう。
その場合はロジックに問題があっても修正することは困難です。自分で作ったロジックであれば、容易に問題を修正することができます。
柔軟に修正していくのであれば、自分でロジックを作りましょう。
トレードスキルが向上する
自分でロジックを作るメリットはトレードスキルの向上です。
トレードスキルを向上させるためには、取引する通貨ペアやエントリーのタイミングなどを考える必要があります。
そして、タイミングを判断するためには相場の知識が欠かせません。ロジックを作っていく過程で、自然と相場分析やFXの知識が身につきます。
ロジックに問題があって修正をおこなう場合も同様です。FXの知識を深めて相場分析のスキルが向上することは、FXの勝率アップにもつながります。
トレードスキルを向上させるためにも、ロジックは自分で作ることをおすすめします。
自動売買のプログラム選びに役立つ
自分でロジックを作ることは、自動売買のプログラム選びに役立ちます。なぜなら、自分で作ることによってロジックに関する知識が深まるためです。
自動売買で勝つためにはプログラムのロジック選びが重要です。相場にマッチしたロジックを選ぶことが勝ちにつながります。
しかし、ロジックに関する知識がないと、どのロジックが優れているか判断できません。
成績でプログラムを選んでも、ロジックが相場にマッチしていないと勝率は下がります。
ロジックを作った経験があれば、自動売買のプログラム選びにおいても、どのロジックが現在の相場に合っているか判断しやすくなります。
ロジックを自分で作ることは、自動売買の勝率を上げることにもつながるでしょう。
自分でロジックを作るデメリット
自分でロジックを作るデメリットを下記の順番で解説します。
- FXや相場の知識がある程度必要
- 負けるロジックを作ると損失が拡大する
- 正解を判断することが難しい
FXや相場の知識がある程度必要
FXのロジックを作るためにはFXや相場の知識が必要です。
たとえば、エントリーのタイミングをロジックに組み込むためには下記のような知識を必要とします。
- テクニカル分析
- ファンダメンタル分析
- 相場の状況判断
これらの知識をもとに、次のようなロジックを作ります。
「ファンダメンタル分析で相場が落ち着いていることを前提に、サポートライン・レジスタンスラインでデッドクロスしたタイミングでエントリーする」
さらにこだわると、取引する通貨ペアや取引スタイルなども取り入れます。
そのため、FX初心者がいきなり手の込んだロジックを作るのは簡単ではありません。
FX初心者がロジックを作る場合は、取引する通貨ペアや1回取引あたりの利益・損切りなど簡単なルールを作るようにしましょう。
負けるロジックを作ると損失が拡大する
ロジックを作っても、相場に合っていなければ負けてしまいます。
負けるロジックを使い続けてしまうと、損失が拡大する可能性があるため注意が必要です。
「作ったロジックで損失が出たら新しいロジックを作ればいいのでは」と思うトレーダーもいるでしょう。
どれだけ優秀なロジックでも、最初から勝てるとは限りません。しばらく運用してから相場に通用するロジックかどうかの判断をおこなっていきます。
作ったロジックを運用してすぐに負けたからと言って、新しいロジックを作っていてはキリがありません。
作ったロジックで負けても一定期間は様子を見るのが普通です。
負けるロジックで取引を始めると、ロジックの性能を判断する間にも損失が拡大します。
ロジックの成績を判断するまでの期間中は、損失が発生しても影響が少ないように少額トレードやデモトレードをおこなうのがおすすめです。
正解を判断することが難しい
作ったロジックが正解かどうかを判断するのは困難です。どれだけ優秀なトレーダーがロジックを作っても100%勝つことはありません。
勝率が60%~70%あれば、成績がいいロジックと言えます。ただし、勝率が60%~70%あっても30%~40%は負けているわけです。
負けに焦点をあてた場合に、負けている以上は今のロジックが不十分と感じてしまいます。
そのため、負けたからと言って本当に修正が必要かどうかの判断が難しく、必要以上に手を加えて複雑なロジックにならないように注意しましょう。
FXのロジックの作り方
FXのロジックを最初に作る場合はシンプルを意識しましょう。ロジックを定期的に検証・修正してカスタマイズするのがおすすめです。
ここでは、FXのロジックの作り方について下記の順番で解説します。
- ①トレードスタイルを決める
- ②取引条件を決める
- ③取引する時間帯を決める
- ④エントリーのタイミングを決める
- ⑤利確と損切りのタイミングを決める
- ①~⑤を検証して見直す
①トレードスタイルを決める
FXのロジックは、トレードスタイルから決めましょう。トレードスタイルによって取引ルールが大きく変わるためです。
下の表はトレードスタイルの種類と特徴をまとめています。
トレードスタイル | 特徴 |
---|---|
スキャルピング | 数秒~数十間隔で取引をおこなう ※対応していない業者がある |
デイトレード | 数十分~1日間隔で取引をおこなう |
スイングトレード | 1日~1週間間隔で取引をおこなう |
ポジショントレード | 1週間~数年単位で取引をおこなう |
FXのトレードスタイルは主に4種類です。スキャルピングに関しては、サーバーに負担がかかるという理由で禁止しているFX業者もあります。
スキャルピングでロジックを作る場合は、スキャルピング対応のFX口座を選びましょう。
ロジックを作るうえで、初心者におすすめのトレードスタイルはスキャルピング・デイトレードです。下記のような理由が挙げられます。
- ポジションの保有期間が短いためメンタルの負担が小さい
- 1回の取引で狙う利益や損失が小さくロスカットしにくい
- ポジションの保有期間が短いため為替変動のリスクが小さい
スキャルピングに対応しているFX業者ならスキャルピング、スキャルピングに非対応のFX業者ならデイトレードをおすすめします。
②取引条件を決める
トレードスタイルが決まったら取引条件を決めましょう。具体的には下記のような条件です。
- 通貨ペア
- 取引量
- 最大レバレッジ
- ポジションの保有時間
通貨ペアは、安定した値動きのドル円やユーロドルなどの基軸通貨ペアをおすすめします。
取引量は、負けても損失が少ないようにFX業者が定めている最小取引量からスタートするのがよいでしょう。
ポジションの保有時間はトレードスタイルに応じて決めましょう。
ロジックの検証を目的としてトレードをするため、できるだけ小さな取引になるように条件設定するのがコツです。
③取引する時間帯を決める
次に取引する時間帯を決めます。できるだけ値動きが安定しやすい流動性の高い時間帯でトレードするのがおすすめです。
おすすめの時間帯は下記の通りです。
- 8時から12時
(東京市場が活発になる時間帯) - 16時から19時
(ロンドン市場が活発になる時間帯) - 21時から24時
(ニューヨーク市場が活発になる時間帯)
一方、取引を避けた方がいい時間帯は早朝の6時から7時の間です。
早朝は主要の市場がクローズしていることから市場参加者が少なく、スプレッドが広がりやすいためレートが飛ぶことも多くあります。
予想外の値動きが発生しやすく、作ったロジックが通用しないケースもあるため、早朝を避けるようにロジックを作りましょう。
④エントリーのタイミングを決める
取引の時間を決めたあとは、エントリーのタイミングを決めましょう。エントリーのタイミングはテクニカル分析の結果に基づいて判断します。
そのため、テクニカル分析の知識が必要です。初心者には下記のインジケーターを使ったテクニカル分析をおすすめします。
- トレンドライン(トレンド相場向き)
- 移動平均線(トレンド相場向き)
- RSI(レンジ相場向き)
エントリーのタイミングは下記に示す例のようにいくつかルールを決めておきます。
<例>
- トレンドラインを引いてブレイクアウトしたところで買い注文
- 長期移動平均線を短期移動平均線が上から下に抜けたところで売り注文
- RSIが30を下回ったら買い注文
これらの条件を満たした場合にエントリーをおこないます。
⑤利確と損切りのタイミングを決める
ロジックを作るためには、利確と損切りのルールやタイミングを決めておく必要があります。
事前に目標とする利幅と損切り幅を決め、指定のレートに到達した時点で決済するのがよいでしょう。
利幅は損切り幅の1.5倍~2.0倍に設定します。
利幅よりも損切り幅が小さくなると、何回か勝ったとしても1回の負けですべての利益を失うリスクがあるためです。(=リスクリワードレシオ)
利幅や損切り幅の目安はポジションを保有する期間の長さによって変わるため、トレードスタイルごとに決めるのがポイントです。
下の表は、基軸通貨ペアにおけるトレードスタイルと目標利幅・損切り幅の目安になります。
トレードスタイル | 目標利幅 | 損切り幅 |
---|---|---|
スキャルピング | 5pips~20pips | 3pip~10pips |
デイトレード | 10pips~100pips | 5pips~50pips |
スイングトレード | 50pips~200pips | 25pips~100pips |
ポジショントレード | 200pips~1,000pips | 100pips~500pips |
注文を入れる際には、指値の決済注文・逆指値の決済注文を入れましょう。
指値注文・逆指値注文は指定したレートに到達したら自動で決済されるため、ロジック通りの取引をおこなうことができます。
①~⑤を検証して見直す
ロジックを作ったあとは、定期的に検証して見直しましょう。検証するためには、毎日のトレードに記録をつけることも大切です。
トレードノートには、①~⑤までのルールに基づいた取引の結果を記載します。トレードで負けた場合は、負けた理由も書いておきましょう。
また、トレードで負けた理由からロジックのどこに原因があるかも探ります。
たとえば、「エントリーのタイミングはよかったのに、利幅が広すぎて指値決済する前に価格が反転して負けた」というケースが立て続けに発生したとします。
このケースだと、敗因は利幅と損切り幅を広く取りすぎていたことが原因です。
利幅と損切り幅の見直しをおこなってロジックを修正する必要があります。トレードの振り返りは勝つために必要です。
初心者でもトレードの振り返りができていれば勝てるようになります。1つ1つのトレードを大切にして勝てるロジックを作りましょう。
さいごに
FXのロジックは、FX成功のカギを握る戦略や判断基準です。
これを自ら作成することは、取引スタイルに合わせたカスタマイズが可能となり、独自性や柔軟性を持たせることができます。
しかし、その作成には深い知識と経験が求められるため、初心者の方は十分な学習と慎重なアプローチが必要です。
どの方法を選ぶにせよ、常にリスク管理を念頭に置き、情報収集を欠かさないことが、FXの成功へと繋がります。